ひとことで言うと
予防薬アトゲパントを始めた患者の8割で、発作時の頭痛薬が減った。
1研究のポイント
- 対象はイタリアの実臨床データ。慢性・高頻度の片頭痛患者55人のトリプタン使用量を、アトゲパント開始前後の各6か月で比較した
- 82%(45人)でトリプタン使用量が減少。そのうち49%(27人)は使用量が60%以上減り、10人は完全にゼロになった
- 中央値でみると、使用錠数は76錠→24錠と約3分の1以下に。薬剤費も研究グループ全体で約40万円相当の削減につながった
2患者の私たちにとって
「予防薬を飲んでも、発作のたびにトリプタンも飲み続ける」という状況が、多くの患者さんで変わる可能性を示した研究です。発作の回数が減れば、緊急の頭痛薬への依存も自然と下がる——という好循環が、実際の診療でも起きているようです。ただし今回は観察研究のため、因果関係の断言はできません。自分に合った予防薬かどうか、主治医とじっくり相談してみてください。
3頭痛専門医のひとこと
前川 裕貴(脳神経内科専門医・頭痛専門医)
アトゲパントは日本では予防のみ承認。急性期のトリプタンがどれだけ減るかを実臨床で追った研究は少なかったので、これは面白い切り口だと思います。薬剤費削減という視点を持ち込んでいるのも新鮮。ただ対象が95人とこぢんまりしているので、あくまで参考データとして受け取るのがいいかな。
4読むときの注意
この研究はイタリア1施設のカルテデータを使った後ろ向き観察研究であり、因果関係は確認できません。また対象患者数が95人と少なく、結果をそのまま日本人全体に当てはめることは難しい点にご注意ください。
