ひとことで言うと
28本の試験データを統合した研究で、後頭部への微弱電流刺激が片頭痛の回数を最も減らした。
1研究のポイント
- 28件の臨床試験・計1920人のデータをまとめて比較した大規模分析。薬を使わずに脳に弱い電流や磁気を当てる「非侵襲的脳刺激」と呼ばれる複数の方法を横並びで検証した
- 「後頭部の視覚野(ものを見る脳の領域)をねらった微弱電流(VC-tDCS)」が、月あたりの片頭痛日数を平均1.75日減らす効果でトップ。ただし信頼区間が広く、効果の幅にはばらつきがある
- 治療の続けやすさ(途中でやめた人の少なさ)では、後頭部の皮膚に電極を貼る「経皮後頭神経刺激(tONS)」だけが偽の刺激より脱落率を有意に下げた(脱落リスクが約64%減)
2患者の私たちにとって
薬以外で片頭痛を減らしたい人にとって、脳刺激療法は選択肢の一つです。ただ今回の結果は「中程度〜低い確実性」の証拠が多く、まだ「これで決まり」とは言えません。機器の種類や設定が試験ごとにバラバラで、比較の精度にも限界があります。将来的に使える選択肢として主治医に相談してみてください。
3頭痛専門医のひとこと
前川 裕貴(脳神経内科専門医・頭痛専門医)
tDCSは比較的安価で持ち運べる機器もあり、臨床応用への期待は以前からありました。ただ「Oz-Cz配置で陽極を当てる」という細かいプロトコルの標準化がまだ課題で、同じ機械でも当て方が違えば効果が全然変わる。この辺りが整理されてくると、外来での処方も現実味を帯びてくるかなと感じています。
4読むときの注意
今回の研究は複数の試験をまとめた「ネットワークメタ解析」ですが、各試験のデータ量が少なく、刺激のやり方もバラバラなため、結果のばらつきが大きい点に注意が必要です。現時点で日本の一般外来で広く使える治療法ではなく、実臨床への導入には今後の検証が必要です。
