ひとことで言うと
CGRP抗体薬で効果がなかった難治性慢性片頭痛の患者さんに、ボトックス注射が有効だった。
1研究のポイント
- 月22日あった頭痛日数が、3か月後に約15日、6か月後に約14日まで減少——約8日分、頭痛のない日が増えた計算
- 6か月後には参加者の約45%が「頭痛日数が半分以下に」という大きな改善に到達
- 6か月後には約51%が「慢性」から「発作型(月14日以下)」の片頭痛に戻り、さらに薬の飲み過ぎ頭痛(薬物乱用頭痛)の割合も81%から43%に半減
2患者の私たちにとって
3種類以上の予防薬を試してもダメで、CGRP抗体注射薬まで効かなかった「手詰まり」の患者さんが対象の研究です。そこでボトックス注射を使ったところ、約半数に目に見える改善がありました。CGRP系とボトックスは効き方が違うため、片方がダメでも他方が効く可能性があります。「もう打つ手がない」と感じている方は、ぜひ主治医に選択肢として相談してみてください。
3頭痛専門医のひとこと
前川 裕貴(脳神経内科専門医・頭痛専門医)
難治性の方ほど「次の手」が気になりますよね。この結果を見ると、CGRP系に反応しなかった患者さんでもボトックスが機能する理由が、作用メカニズムの違いにありそうで、臨床的にも腑に落ちます。薬物乱用頭痛が半減したのも見逃せないポイントです。
4読むときの注意
参加者は53名と少なく、比較対照グループのない観察研究のため、ボトックスが原因で改善したとは断言できません。また対象は「3種類以上の予防薬+CGRP抗体薬が無効」という特殊なケースであり、すべての慢性片頭痛患者に当てはまるわけではありません。
