ひとことで言うと
32本の臨床試験をまとめた分析で、鍼治療の片頭痛予防効果が薬と同水準と判明。
1研究のポイント
- 1か月の片頭痛回数:鍼治療はプラセボ(偽薬)より平均2.3回少なく、薬も1.7回少なかった。鍼と薬の間に差はなかった
- 頭痛の強さと鎮痛薬の使用回数:この2点では鍼治療が薬より優れていた(強さで約1ポイント、鎮痛薬の使用で月約1回分の差)
- 「偽鍼」(本物ではないツボに刺す対照用の鍼)との比較では、本物の鍼と差がなかった。これは鍼の効き方を研究するうえでの大きな課題として残っている
2患者の私たちにとって
薬を使いたくない・副作用が気になる方にとって、鍼治療が予防の選択肢として検討できる可能性があります。ただし今回の分析は「本物の鍼と偽鍼で差がなかった」という難しい問題も浮き彫りにしており、鍼の効果の仕組みはまだ解明途中です。鍼治療を試したい場合は、頭痛の専門外来や主治医にご相談ください。
3頭痛専門医のひとこと
前川 裕貴(脳神経内科専門医・頭痛専門医)
「偽鍼でも効く」という結果、実は昔からずっと議論されているんですよね。ツボでないところに刺しても、鍼を刺すという行為自体が何らかの効果を持つのかもしれない。プラセボの設計が難しい治療の典型例で、研究者泣かせです。でも、患者さんが楽になるなら、仕組みの解明と実用は並行して進めていいと私は思っています。
4読むときの注意
今回はRCT(ランダム化比較試験)32本をまとめた分析ですが、研究ごとに鍼の施術方法や薬の種類が異なります。また「偽鍼がどれほど本当に効果ゼロか」が担保しにくく、結果の解釈には限界があります。全員に同じ効果が出るわけではなく、個人差も大きい点をご注意ください。
