ひとことで言うと
緊張型頭痛の予防にSSRIの一種が痛みを和らげる可能性が出てきた
1研究のポイント
- エスシタロプラムを3か月飲んだグループは、痛みスコア(10点満点)が平均5.1→4.6点に下がった。一方、飲まなかったグループは4.7→4.9点とわずかに悪化した
- 薬を飲んでいないグループと比べると、痛みの変化に統計的に意味のある差があった。ただし試験開始時点で両グループの痛みの強さが違っており、単純比較は難しい
- 対象は503人(女性344人・男性159人、平均年齢33歳)。患者が自分で治療法を選んだ後付け研究のため、ランダムに割り付けた試験ではない
2患者の私たちにとって
エスシタロプラムはもともと不安やうつに使われる薬ですが、緊張型頭痛の予防にも使える可能性が出てきました。ただ今回はランダム化試験(くじ引きで治療を決める最も信頼性の高い方法)ではないため、「薬が効いた」と断定するには証拠が足りません。第一選択の予防薬が合わない方の選択肢を広げる研究として注目できます。試してみたい場合は必ず主治医に相談してください。
3頭痛専門医のひとこと
前川 裕貴(脳神経内科専門医・頭痛専門医)
緊張型頭痛の予防薬ってじつは選択肢が少なくて困るんですよね。アミトリプチリン(三環系抗うつ薬)が定番ですが副作用で続けられない方も多い。SSRIの一種であるエスシタロプラムが代替になるかどうか、今後のランダム化試験に期待したいところです。
4読むときの注意
これは患者が自分で治療法を選んだ後付けの観察研究です。グループ間で最初の痛みの強さが揃っていないため、因果関係(薬が直接痛みを減らしたかどうか)はわかりません。エスシタロプラムは日本で緊張型頭痛への予防適応は取得しておらず、現時点では保険適用外の使用にあたります。
