ひとことで言うと
慢性片頭痛への処置系治療を大規模に比較した結果、信頼できる証拠はボトックスだけだった。
1研究のポイント
- ボトックス(ボツリヌス毒素注射)は慢性片頭痛の予防として最も証拠が揃っており、治療の軸として確立されている
- 後頭神経ブロック(首の後ろへの局所麻酔注射)は「頭痛の日数や強さを短期的に和らげる可能性」があるが、証拠の質は低く、長続きするかどうかは不明
- 鍼治療・その他の神経ブロック・手術などは、研究の設計や対象がバラバラで、慢性片頭痛にどこまで使えるか判断できる段階にない
2患者の私たちにとって
「注射や処置で頭痛を治す方法」をひとまとめにして比較した今回の研究は、17本の系統的レビューを精査したものです。結論として、処置の種類によって証拠の量・質は大きく異なり、一律に「処置系は効く(あるいは効かない)」とは言えません。今の自分の治療に処置を追加したい場合は、まず主治医に「どの処置が自分に向いているか」を相談してみてください。
3頭痛専門医のひとこと
前川 裕貴(脳神経内科専門医・頭痛専門医)
正直、「処置系治療をひとくくりにするな」という結論は臨床感覚と一致します。ボトックスと神経ブロックでは、エビデンスの成熟度がまったく違う。神経ブロックは「とりあえずやってみる」ではなく、どの患者にどのプロトコルで、というところまで詰めないと評価できないんですよね。
4読むときの注意
この研究はあくまで既存の研究をまとめたものです。個々の治療が「自分に効くかどうか」を示すものではありません。また、今回比較された処置の多くは、研究間でやり方や評価方法がバラバラなため、単純な優劣比較は難しい状況です。
