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市販の頭痛薬を飲む日が多い人へ(薬の飲みすぎによる頭痛)
最終更新 2026年10月19日
「頭痛薬が手放せない」「最近効きが悪い」という方へ。市販薬を飲む日数の目安、自分の薬がどちらにあたるかの見分け方、気づいたときに何を持って誰に相談すればいいかを、頭痛専門医がまとめました。
市販の頭痛薬を飲む日が月に10日を超える状態が続いているなら、薬そのものが頭痛を増やしている可能性があります。これを薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛、英語の略で MOH)と呼びます。この頭痛は、本人に「飲みすぎている」という自覚がないまま始まることがほとんどです。この記事では、市販薬で頭痛をしのいできた人が、自分で気づき、主治医に相談するまでに知っておきたいことを、頭痛専門医がまとめます。
市販の頭痛薬を飲みすぎると、頭痛が増えるのですか?
増えることがあります。痛み止めを頻繁に使っていると、脳が痛みを感じる仕組みそのものが敏感になり、少しの刺激で頭痛が起きやすくなると考えられています。頭痛が増える、薬を飲む日が増える、さらに頭痛が増える、という悪循環に入るのがこの頭痛の特徴です。
珍しい病気ではなく、海外の調査では人口の1〜2%がこの状態にあると推定されています。もとの頭痛は片頭痛が多いですが、緊張型頭痛の人にも起こります。
市販の頭痛薬は、月に何日までなら大丈夫ですか?
市販の頭痛薬の多くは、月10日以上飲む状態が3か月を超えて続くと、この頭痛の目安に当てはまります。痛み止めの成分が1種類だけの薬なら目安は月15日以上です。数えるのは錠数ではなく「飲んだ日数」で、同じ日に何回飲んでも1日です。
| 薬の種類 | 目安(3か月を超えて続く) |
|---|---|
| 痛み止めの成分が1種類だけの薬 | 月15日以上 |
| 痛み止めにカフェインや眠くなる成分などを組み合わせた薬(市販の頭痛薬の多く) | 月10日以上 |
| トリプタンなど処方の片頭痛の薬 | 月10日以上 |
| 種類の違う薬を合わせて飲んでいる場合 | 合計で月10日以上 |
これは国際頭痛分類(ICHD-3)の基準で、日本の「頭痛の診療ガイドライン2021」もこれに沿っています。国際頭痛分類では、痛み止めにカフェインなどを組み合わせた薬は「複合鎮痛薬」として月10日の基準になり、日本の市販の頭痛薬の多くがこれにあたります。診断ではこれに加えて、頭痛のある日が月15日以上あることも条件になります。ただ、これは診断の線引きで、頭痛の日が15日未満なら飲みすぎの心配がない、という意味ではありません。月10日に届いていなくても、飲む日が増えてきたなら相談のきっかけと考えてください。処方薬を含めた薬の種類ごとの違いは片頭痛の薬の種類にまとめています。
自分の飲んでいる市販薬が、どちらにあたるか分かりますか?
箱や説明書の「成分」の欄を見ると分かります。痛み止めの成分(アセトアミノフェン、イブプロフェン、ロキソプロフェン、アスピリンなど)のほかに、カフェイン(無水カフェイン)や、眠くなる成分(アリルイソプロピルアセチル尿素など)が書かれていれば、組み合わせた薬にあたり、目安は月10日です。
自分で判断がつかないときは、薬の箱を持って薬局の薬剤師に聞いてください。受診するときも、飲んでいる市販薬の箱か写真を持っていくと、主治医に正確に伝わります。
飲みすぎに、自分で気づくサインはありますか?
次のような様子が当てはまるなら、薬の日数を一度数えてみてください。
- 頭痛のある日が、月の半分くらいまで増えてきた
- 朝起きたときから頭が痛い日が多い
- 薬が以前より効かない、効いても数時間でまた痛くなる
- 「痛くなりそうだから」と、痛む前に飲むことが増えた
- 頭痛薬を切らすのが不安で、いつも持ち歩いている
いちばん確実なのは、頭痛があった日と、薬を飲んだ日を1か月記録して数えることです。記憶に頼ると、ほとんどの人が実際より少なく見積もります。記録の付け方は頭痛ダイアリーの書き方で紹介しています。ズツノートでは、飲んだ薬を記録すると、薬を飲んだ日数が自動で数えられます。同じ日に何種類飲んでも1日と数えるので、上の表の目安とそのまま比べられます。
頭痛日誌アプリ「ズツノート」
頭痛と飲んだ薬をタップで記録。頭痛の日数と薬を飲んだ日数が自動で集計され、主治医にそのまま共有できます。
飲みすぎかもしれないと思ったら、薬をやめればいいですか?
自己判断で急にやめることはおすすめしません。まず主治医に相談してください。
薬を減らし始めると、しばらくの間、頭痛がかえって強くなることがあります。眠くなる成分を含む薬などは、急にやめると体に負担がかかることもあります。どの薬を、どう減らすか、つらい時期にどうするかは、飲んでいる薬や体の状態によって違うので、必ず主治医と決めてください。
一方で、薬を「我慢する」だけで乗り切る必要もありません。この頭痛は、主治医と一緒に薬の使い方を見直し、頭痛そのものを減らす予防の治療を組み合わせることで、多くの人が改善します。予防の治療については片頭痛の予防治療にまとめています。
どこに、何を持って相談すればいいですか?
頭痛外来、または頭痛を診てもらえるかかりつけ医に、1か月分の記録と、飲んでいる薬(箱か写真)を持って相談してください。「この1か月で頭痛が何日、薬を飲んだのが何日」という2つの数字があれば、主治医はすぐに状況をつかめます。初めて受診するときの流れは頭痛外来の初診ガイドにまとめています。
すぐに受診したほうがよいのは、急に始まった強い頭痛、いつもと違う頭痛、手足のしびれやろれつの回りにくさを伴う頭痛です。この場合は飲みすぎの心配より先に、すぐに医療機関を受診してください。受診の目安は頭痛外来を受診する目安にまとめています。
良くなったあと、また繰り返さないためには?
いったん良くなっても、薬の日数がまた増えて戻ってしまうことがあります。良くなったあとも記録を続け、頭痛薬を飲む日を月10日未満に保つことを目安にしてください。日数が増えてきたら、元に戻る前に主治医に相談するのが近道です。
医療者向けには、記録からこの頭痛を早く見つけて対応する方法を薬剤の使用過多による頭痛(MOH)記録での早期発見と対応で解説しています。
参考にした資料
- Headache Classification Committee of the International Headache Society. The International Classification of Headache Disorders, 3rd edition (ICHD-3). Cephalalgia. 2018;38:1-211.
- 日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会(監修). 頭痛の診療ガイドライン2021. 医学書院; 2021.
- Diener HC, et al. Pathophysiology, prevention, and treatment of medication overuse headache. Lancet Neurol. 2019;18:891-902.
- Westergaard ML, et al. Prevalence of chronic headache with and without medication overuse: associations with socioeconomic position and physical and mental health status. Pain. 2014;155:2005-2013.
よくある質問
市販の頭痛薬は月に何日まで飲んでいいですか?
国際頭痛分類(ICHD-3)では、カフェインや眠くなる成分などを組み合わせた薬(市販の頭痛薬の多く)を月10日以上、痛み止めの成分が1種類だけの薬を月15日以上、3か月を超えて飲み続けることが、薬の飲みすぎによる頭痛の目安です。数えるのは錠数ではなく飲んだ日数です。月10日に届かなくても、飲む日が増えてきたら主治医に相談してください。
頭痛薬を飲みすぎると、なぜ頭痛が増えるのですか?
痛み止めを頻繁に使うと、脳が痛みを感じる仕組みが敏感になり、少しの刺激で頭痛が起きやすくなると考えられています。頭痛が増え、薬が増え、さらに頭痛が増える、という悪循環に入るのが特徴で、人口の1〜2%がこの状態にあると推定されています。
自分の市販薬が「組み合わせた薬」かどうかは、どう分かりますか?
箱や説明書の成分の欄を見てください。痛み止めの成分のほかに、カフェイン(無水カフェイン)や眠くなる成分(アリルイソプロピルアセチル尿素など)が書かれていれば、組み合わせた薬にあたり、目安は月10日です。分からないときは、薬の箱を持って薬剤師に聞いてください。
飲みすぎかもしれないと思ったら、すぐに薬をやめたほうがいいですか?
自己判断で急にやめることはおすすめしません。減らし始めると一時的に頭痛が強くなることがあり、薬によっては急にやめると体に負担がかかるものもあります。どの薬をどう減らすかは、必ず主治医と相談して決めてください。予防の治療を組み合わせることで、多くの人が改善します。
受診するときは何を持っていけばいいですか?
1か月分の頭痛と薬の記録と、飲んでいる市販薬の箱か写真です。「頭痛が何日、薬を飲んだのが何日」という2つの数字があれば、主治医はすぐに状況をつかめます。頭痛記録アプリ「ズツノート」なら、薬を飲んだ日数が自動で集計されます。
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執筆・監修者
脳神経内科専門医・頭痛専門医。東京大学 脳神経内科で診療・研究に従事したのち、頭痛診療に専念。頭痛診療に欠かせない頭痛日誌が、いまだに紙での運用が多く、市販のアプリも使いにくいものばかりであることに課題を感じ、自ら頭痛日誌アプリ『ズツノート』を開発した。エンジニアとしても活動する“つくる頭痛専門医”として、診療と開発の両面から頭痛医療に取り組んでいる。
現在の所属:埼玉精神神経センター 頭痛専門外来 / 荏原ホームケアクリニック 頭痛センター長
開発した頭痛日誌アプリ「ズツノート」を見る頭痛は「我慢するもの」ではなく「付き合い方を整えるもの」です。自分に合った頭痛外来を見つけることが、その大切な第一歩になります。
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