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片頭痛の薬の種類と飲み方(発作のときの薬)

最終更新 2026年10月19日

「病院の薬と市販薬は何が違う?」「トリプタンとレイボーはどう違う?」という方へ。片頭痛の発作のときに使う薬の種類と、効かせるための飲むタイミングを、頭痛専門医がまとめました。

前川 裕貴 - 頭痛専門医

この記事の監修・執筆

前川 裕貴

脳神経内科専門医・頭痛専門医

頭痛日誌アプリ「ズツノート」開発者

日本頭痛学会 専門医日本神経学会 専門医日本内科学会 内科専門医難病指定医

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片頭痛(偏頭痛)の薬は、大きく分けて2種類あります。痛みが出たときに飲んで発作を止める「急性期治療薬」と、発作の回数そのものを減らすために続ける「予防薬」です。この記事では急性期治療薬を中心に、鎮痛薬・トリプタン・ラスミジタン・ゲパント・吐き気止めの違い、市販薬との違い、飲むタイミング、飲みすぎの目安を、頭痛専門医がまとめます。予防薬については片頭痛の予防治療で詳しく説明しています。

片頭痛の発作を止める薬には、どんな種類がある?

日本で片頭痛の発作に使われる薬は、鎮痛薬、トリプタン、ラスミジタン、ゲパント、吐き気止めの5つのグループです。日本頭痛学会などがまとめた「頭痛の診療ガイドライン2021」では、軽い〜中くらいの発作には鎮痛薬、中くらい〜重い発作や鎮痛薬で効かなかった発作にはトリプタンを使う、という考え方が示されています。

種類主な薬(一般名と主な製品名)特徴
鎮痛薬アセトアミノフェン、ロキソプロフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、アスピリンなど市販薬にも同じ成分がある。軽い〜中くらいの発作に
トリプタンスマトリプタン(イミグラン)、ゾルミトリプタン(ゾーミッグ)、エレトリプタン(レルパックス)、リザトリプタン(マクサルト)、ナラトリプタン(アマージ)片頭痛のために作られた薬。処方が必要
ラスミジタンラスミジタン(レイボー)血管を縮める作用がない。処方が必要
ゲパントリメゲパント(ナルティーク)CGRPという物質の働きを抑える飲み薬。発作時と予防の両方に使える。処方が必要
吐き気止めメトクロプラミド(プリンペラン)、ドンペリドン(ナウゼリン)吐き気を抑え、ほかの薬と一緒に使う

トリプタンの後発品(ジェネリック)もあり、名前が違っても成分が同じなら同じ薬です。どれが合うかは人によって違うので、選び方は主治医と相談してください。

鎮痛薬(痛み止め)は片頭痛に効く?

効きます。軽い〜中くらいの片頭痛なら、アセトアミノフェンやロキソプロフェン、イブプロフェンなどの鎮痛薬で治まる人も多く、ガイドラインでも最初に使う薬の一つです。

ロキソプロフェンやイブプロフェンなどは「非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)」と呼ばれ、胃が荒れやすいことがあります。NSAIDs は妊娠の後期(末期)には、おなかの赤ちゃんに影響するため使えません(禁忌)。また、NSAIDs でぜんそくの発作が出たことがある人(アスピリンぜんそく)も使えません。アセトアミノフェンは胃への負担が少なく、妊娠中にも使われる薬ですが、量が多いと肝臓に負担がかかります。胃や腎臓・肝臓の病気がある人、ぜんそくのある人は、飲む前に医師か薬剤師に相談してください。

トリプタンはどんな薬?

トリプタンは、片頭痛の発作を止めるために作られた薬です。片頭痛のときに広がった頭の血管を縮め、痛みを伝える神経の興奮を抑えると考えられています。日本では5種類のトリプタンが使われていて、どれも処方が必要です。

どのトリプタンにも普通の錠剤があり、薬によってほかの形もあります。スマトリプタンには点鼻薬と、自分で打てる皮下注射があり、ゾルミトリプタンとリザトリプタンには水なしで飲める口の中で溶ける錠剤があります。エレトリプタンとナラトリプタンは錠剤だけです。吐き気が強くて飲めないときや、痛みが一気に強くなる人には、点鼻薬や注射が向いていることがあります。効き始めの速さや効いている時間は薬によって違い、ナラトリプタンは効き始めがゆっくりな分、長く効きます。1つのトリプタンが合わなくても、別のトリプタンで効くことがあります。

血管を縮める作用があるため、心筋梗塞や狭心症などの心臓の病気、脳梗塞・一過性脳虚血発作などの脳の血管の病気、手足の血管が詰まる病気がある人や、血圧のコントロールがついていない人、重い肝臓の病気がある人は使えません(禁忌)。前兆で手足が動かしにくくなる「片麻痺性片頭痛」の人も使えません。また、リザトリプタンは予防薬のプロプラノロールを飲んでいる人には使えないなど、一緒に飲めない薬もあります。飲んだあとに胸や喉が締めつけられる感じ、だるさ、眠気が出ることがあります。また、トリプタンは緊張型頭痛には効きません。片頭痛かどうか分からない頭痛にまで使っていると、効かないうえに飲む日数が増えてしまいます。

ラスミジタン(レイボー)はどんな薬?

ラスミジタンは、トリプタンと同じくセロトニンの受け皿(5-HT1F 受容体)に働く薬ですが、血管を縮める作用がありません。そのため、心臓や血管の病気があってトリプタンが使えない人にも選択肢になります。

めまい・眠気・だるさが出やすい薬で、添付文書では、飲んだあと少なくとも8時間は車の運転など危険を伴う機械の操作をしないこととされています。トリプタンとの使い分けや、同じ発作で両方を使うかどうかは、主治医に相談してください。

ゲパント(リメゲパント)はどんな薬?

ゲパントは、片頭痛の痛みに深く関わる「CGRP」という物質の働きを、受け皿の側でふさぐ飲み薬です。日本で発作のときに使えるゲパントは、リメゲパント(製品名ナルティーク)の1つです。口の中で溶ける錠剤で、血管を縮める作用がありません。

リメゲパントは、発作時の薬としても予防薬としても日本で承認されている点が、ほかの急性期治療薬と違うところです。同じゲパントのアトゲパント(製品名アクイプタ)は、日本では予防薬としてのみ承認されていて、発作のときの薬としては承認されていません。ウブロゲパントは日本ではまだ承認されていません。

吐き気止めは、なぜ一緒に出される?

片頭痛の発作では、吐き気が出るだけでなく、胃の動きが鈍くなって飲んだ薬が吸収されにくくなります。メトクロプラミドやドンペリドンなどの吐き気止めは、吐き気を抑えるとともに胃の動きを戻すので、鎮痛薬やトリプタンと一緒に使うと効きがよくなることがあります。ドンペリドンは妊娠中の人には使えない(禁忌)など、薬ごとに注意点があるので、処方された飲み方を守ってください。

市販の頭痛薬と、病院の薬はどう違う?

市販の頭痛薬は、ほぼすべてが鎮痛薬です。トリプタン、ラスミジタン、ゲパントは市販されておらず、医師の処方が必要です。

市販の頭痛薬の多くは、鎮痛成分にカフェインや鎮静成分などを組み合わせた「配合薬」です。配合薬は、後で触れる飲みすぎの目安が単一成分の鎮痛薬より厳しくなります。市販薬で痛みがきちんと治まり、飲む日も少ないなら、それで過ごせることもあります。一方で、市販薬を飲んでも寝込む、効かないことが多い、飲む日が増えてきた、という場合は、片頭痛に合った薬を選び直すために受診を考えてください。

片頭痛の薬は、いつ飲むのがいい?

片頭痛だと分かる頭痛なら、痛みが軽いうちに早めに飲むのが基本です。我慢して痛みが強くなってから飲むと、どの薬も効きにくくなります。

片頭痛の発作が進むと、頭の皮膚や髪に触れるだけで痛む状態になることがあり、こうなるとトリプタンが効きにくいことが知られています。一方で、目の前がギザギザ光る「前兆」がある人は、前兆の間にトリプタンを飲んでも効果がありません。トリプタンは前兆が終わって頭痛が始まったら、できるだけ早く飲みます。

トリプタンを飲んでいったん治まった頭痛がまたぶり返したときは、2回目を飲めます。あける間隔は、多くのトリプタンで最初の服用から2時間以上、ナラトリプタンは4時間以上で、1日に飲める上限も薬ごとに決まっています。ただし、1回目がまったく効かなかった発作に同じトリプタンをもう1回飲んでも、効果は期待しにくいとされています。自分の薬の飲み方は、処方されたときの説明を守り、分からないときは主治医か薬剤師に確認してください。

頭痛薬の飲みすぎは、月に何日から?

国際頭痛分類(ICHD-3)では、単一成分の鎮痛薬を月15日以上、トリプタンや市販薬に多い配合薬を月10日以上飲む状態が3か月を超えて続くと、薬の飲みすぎによる頭痛(薬剤の使用過多による頭痛)の目安になるとしています。数え方や、飲む日が増えてしまったときの対処は頭痛薬の飲みすぎによる頭痛で説明しています。

薬が効かないときは、どうすればいい?

薬が効かないときは、薬の種類を替える、飲む形(口の中で溶ける錠剤、点鼻薬、注射)を替える、飲むタイミングを早める、吐き気止めを加える、といった調整で効くようになることがあります。頭痛の種類が片頭痛ではなかった、飲みすぎによる頭痛が重なっていた、という場合もあります。

自分で量を増やしたり、何種類も重ねて飲んだりするのは避け、「どの薬を、いつ飲んで、2時間後にどうだったか」を主治医に伝えてください。この情報があると、次の薬を選びやすくなります。

発作が多い人は、予防薬も考える

頭痛の診療ガイドライン2021では、片頭痛の発作が月に2回以上、または生活に支障をきたす頭痛が月に3日以上ある人は、予防治療を検討することが勧められています。発作の薬だけで追いかけていると、飲む日数が増えて飲みすぎによる頭痛にもつながりやすくなります。

予防薬には、昔から使われている飲み薬のほか、CGRPに働く注射薬や飲み薬があります。種類や効き方、やめ時の考え方は片頭痛の予防治療にまとめています。

薬の効き方は、記録すると分かる

どの薬が自分に合っているかは、1回の印象より、何回分かの記録のほうが正確に分かります。飲んだ薬、飲んだ時刻、2時間後に痛みがどうなったか、月に何日飲んだか。この4つが残っていると、診察で薬を見直すときの大事な材料になります。

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妊娠中・授乳中、子ども、持病のある人

妊娠中や授乳中、妊娠を考えている人は、使える薬が限られます。子どもや10代も、大人と同じ薬がそのまま使えるとは限りません(10代の片頭痛と薬については中学生・高校生の片頭痛にまとめています)。心臓や血管の病気、肝臓・腎臓の病気、ほかに飲んでいる薬がある人も、使えない薬や注意が必要な組み合わせがあります。いずれも自己判断で市販薬や家族の薬を使わず、主治医や薬剤師に相談してください。

突然の激しい頭痛、手足のしびれやろれつの回りにくさを伴う頭痛、発熱と首の硬さを伴う頭痛、いつもとまったく違う頭痛は、片頭痛の薬で様子を見ずに、すぐに救急を受診してください。

この記事は、片頭痛の薬についての一般的な説明です。特定の薬をすすめるものではありません。薬の選び方・量・飲み方は人によって違うので、必ず主治医に相談して決めてください。承認状況は2026年10月時点のものです。

参考にした資料

  • 日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会(監修). 頭痛の診療ガイドライン2021. 医学書院; 2021.
  • Headache Classification Committee of the International Headache Society. The International Classification of Headache Disorders, 3rd edition (ICHD-3). Cephalalgia. 2018;38:1-211.
  • Diener HC, et al. Pathophysiology, prevention, and treatment of medication overuse headache. Lancet Neurol. 2019;18:891-902.
  • Burstein R, et al. Defeating migraine pain with triptans: a race against the development of cutaneous allodynia. Ann Neurol. 2004;55:19-26.
  • 各薬の添付文書(医薬品医療機器総合機構 PMDA 医療用医薬品情報検索)

よくある質問

片頭痛の薬にはどんな種類がありますか?

発作を止める急性期治療薬と、発作の回数を減らす予防薬の2種類があります。急性期治療薬は、鎮痛薬(アセトアミノフェン、ロキソプロフェン、イブプロフェンなど)、トリプタン(スマトリプタン、ゾルミトリプタン、エレトリプタン、リザトリプタン、ナラトリプタン)、ラスミジタン(レイボー)、ゲパントのリメゲパント(ナルティーク)、吐き気止めの5つのグループです。どれが合うかは人によって違うので、主治医と相談して選んでください。

トリプタンとレイボー(ラスミジタン)の違いは何ですか?

どちらも片頭痛の発作のときに使う処方薬です。トリプタンには血管を縮める作用があるため、心筋梗塞や狭心症、脳梗塞などの血管の病気がある人や、血圧のコントロールがついていない人は使えません(禁忌)。ラスミジタンには血管を縮める作用がなく、そうした人にも選択肢になります。一方で、めまいや眠気が出やすく、飲んだあと少なくとも8時間は車の運転をしないこととされています。使い分けは主治医に相談してください。

ゲパントとはどんな薬ですか?日本で使えるのはどれですか?

片頭痛の痛みに関わるCGRPという物質の受け皿をふさぐ飲み薬です。日本で使えるのはリメゲパント(ナルティーク)とアトゲパント(アクイプタ)の2つです。リメゲパントは発作のときの薬としても予防薬としても承認されています。アトゲパントは予防薬としてのみ承認されています。ウブロゲパントは日本ではまだ承認されていません。

片頭痛の薬はいつ飲むのが効果的ですか?

片頭痛だと分かる頭痛なら、痛みが軽いうちに早めに飲むのが基本です。我慢して痛みが強くなってから飲むと効きにくくなります。前兆がある人は、トリプタンを前兆の間に飲んでも効果がないので、頭痛が始まったら早めに飲みます。トリプタンでいったん治まった頭痛がぶり返したときの2回目は、多くのトリプタンで2時間以上、ナラトリプタンは4時間以上あけます。処方されたときの説明を守り、分からないときは主治医か薬剤師に確認してください。

市販の頭痛薬と病院の片頭痛の薬は何が違いますか?

市販の頭痛薬はほぼすべてが鎮痛薬で、カフェインなどを組み合わせた配合薬が多いです。トリプタン・ラスミジタン・ゲパントは市販されておらず、医師の処方が必要です。市販薬を飲んでも寝込む、効かないことが多い、飲む日が増えてきた、という場合は受診を考えてください。

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執筆・監修者

前川 裕貴 - 頭痛専門医・ズツノート開発者
前川 裕貴

脳神経内科専門医・頭痛専門医

頭痛日誌アプリ「ズツノート」開発者

日本頭痛学会 専門医日本神経学会 専門医日本内科学会 内科専門医難病指定医

脳神経内科専門医・頭痛専門医。東京大学 脳神経内科で診療・研究に従事したのち、頭痛診療に専念。頭痛診療に欠かせない頭痛日誌が、いまだに紙での運用が多く、市販のアプリも使いにくいものばかりであることに課題を感じ、自ら頭痛日誌アプリ『ズツノート』を開発した。エンジニアとしても活動する“つくる頭痛専門医”として、診療と開発の両面から頭痛医療に取り組んでいる。

2020–2023東京大学 脳神経内科
2023–昭和医科大学 客員講師 / 埼玉精神神経センター 頭痛専門外来 / 荏原ホームケアクリニック 頭痛センター長
2025–株式会社 Iris Wellness 代表(頭痛日誌アプリ「ズツノート」を開発・運営)

現在の所属:埼玉精神神経センター 頭痛専門外来 / 荏原ホームケアクリニック 頭痛センター長

頭痛は「我慢するもの」ではなく「付き合い方を整えるもの」です。自分に合った頭痛外来を見つけることが、その大切な第一歩になります。

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