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片頭痛とは(症状・前兆・続く時間・原因と見分け方)

最終更新 2026年10月19日

「この頭痛は片頭痛?」と思った方へ。片頭痛の症状と前兆、何時間続くか、何が引き金になるか、緊張型頭痛との見分け方、診断と治療の考え方を、頭痛専門医が国際頭痛分類と日本のガイドラインに沿ってまとめました。

前川 裕貴 - 頭痛専門医

この記事の監修・執筆

前川 裕貴

脳神経内科専門医・頭痛専門医

頭痛日誌アプリ「ズツノート」開発者

日本頭痛学会 専門医日本神経学会 専門医日本内科学会 内科専門医難病指定医

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頭痛専門医が開発した無料の頭痛日誌アプリ。頭痛・お薬・体調を記録するだけで自動でグラフ化し、主治医にそのまま共有できます。

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片頭痛(偏頭痛)は、頭の片側(両側のこともあります)がズキンズキンと脈打つように痛み、吐き気や光・音のつらさを伴う発作が、4〜72時間続く病気です。日本では成人のおよそ12人に1人(8.4%)が片頭痛を持っていて、とくに20〜40代の女性に多く見られます。この記事では、片頭痛の症状、前兆、続く時間、引き金、緊張型頭痛との見分け方、受診の目安を、頭痛専門医がまとめます。

片頭痛とはどんな病気ですか?

片頭痛は、脳の病気が隠れているわけではないのに、中等度以上の頭痛発作をくり返す「一次性頭痛」の一つです。ふだんは何ともないのに、発作が来ると仕事や家事、学校を休まざるを得ないほど生活に響くのが特徴です。

日本の全国調査(Sakai 1997)では、15歳以上の8.4%に片頭痛があり、女性は12.9%、男性は3.6%でした。それでも、片頭痛のある人の約7割は医療機関を受診したことがありませんでした。世界の疾病負担の研究では、片頭痛は生活に支障をきたす病気の第2位、50歳未満の女性では第1位とされています(Steiner 2020)。

「偏頭痛」と書かれることもよくありますが、指しているのは同じ病気で、医学的な表記は「片頭痛」です。また、名前に「片」とあっても片側だけが痛むとは限らず、頭の両側が痛む発作も珍しくありません。痛む側が発作ごとに入れ替わることもあります。

片頭痛の症状は?

典型的な片頭痛は、脈打つような痛み、動くと悪化する痛み、吐き気、光や音がつらいの組み合わせで起こります。発作中は暗く静かな部屋で横になりたくなる人が多いです。

片頭痛の発作は、いくつかの時期に分かれて進むことがあります。すべての人に全部の時期があるわけではありません。

時期起こること
予兆期(頭痛の数時間〜2日前)あくび、眠気、だるさ、首のこり、甘いものが食べたくなる、気分の変化など
前兆(一部の人だけ)目の前にギザギザの光が見える、視野の一部が見えにくい、手や顔のしびれなど。それぞれの症状は5〜60分で消える
頭痛期(4〜72時間)脈打つ痛み、動くと悪化、吐き気・嘔吐、光や音、においがつらい
回復期頭痛が治まったあとも、だるさや集中しにくさが1日ほど残ることがある

頭痛日誌アプリ「ズツノート」の利用者の記録でも、頭痛の前に何らかの前ぶれを記録している人は多くいます。どの前ぶれが多いかの最新の数字は、毎月集計しているズツノート利用者の集計にまとめています。

片頭痛の前兆とは?

前兆とは、頭痛の前(または頭痛と同時)に、目や感覚の症状が数分かけてじわじわ広がり、5〜60分で消える現象です。いちばん多いのは目の症状で、視野の中にギザギザした光が現れて広がっていく「閃輝暗点(せんきあんてん)」がよく知られています。

前兆があるのは片頭痛のある人の一部で、日本の調査では片頭痛全体のおよそ3割でした(Sakai 1997)。手や顔のしびれ、言葉が出にくくなる前兆もあります。前兆のあとに頭痛が来ないこともあります。

初めての前兆、片側の手足に力が入らない、前兆が1時間以上続く、50歳を過ぎて初めて出た、という場合は、脳梗塞などほかの病気との区別が必要です。自己判断せず、早めに受診してください。また、前兆のある片頭痛の方には、エストロゲンを含む低用量ピルは禁忌(使ってはいけない薬)です。脳梗塞の危険が高まるためで、避妊に使うピルも、生理痛などの治療に使うピル(LEP)も同じです。ピルを使っている、または使う予定のある方は、前兆があることを処方する医師に必ず伝えてください。くわしくは生理と片頭痛にまとめています。

片頭痛は何時間続く?

大人の片頭痛は、薬を飲まない(または効かない)場合、1回の発作が4〜72時間続きます。これは国際頭痛分類(ICHD-3)の診断の基準にもなっている時間です。子どもでは2〜72時間と、大人より短いことがあります(10代の片頭痛は中学生・高校生の片頭痛にまとめています)。

72時間を超えて続く、生活できないほどの発作は「片頭痛発作重積」と呼ばれ、点滴などの治療が必要になることがあるので受診してください。発作の回数は人によって違い、年に数回の人もいれば、月に何度も起こる人もいます。頭痛のある日が月に15日以上の状態が3か月を超えて続き、そのうち8日以上が片頭痛の特徴を持つ場合は「慢性片頭痛」と診断されます。

片頭痛の原因と引き金は?

片頭痛は、生まれ持った「片頭痛になりやすい脳」に、いくつかの引き金が重なったときに発作が起こる病気と考えられています。家族に片頭痛の人がいることが多く、体質が関わっています。

発作のときには、脳の表面を包む膜にある三叉神経(顔や頭の感覚を伝える神経)が刺激され、CGRP という物質が放出されて、痛みや炎症が起こるとされています。最近の片頭痛の新しい薬の多くは、この CGRP の働きを抑える仕組みです。

よく知られている引き金は次のとおりです。人によって当てはまるものが違い、いくつかが重なると発作が起こりやすくなります。

分類主な引き金
ストレスストレスそのもの、またはストレスから解放されたとき(週末・休みの初日)
睡眠寝不足、寝すぎ、時差
女性ホルモン月経の前後、排卵のころ
食事空腹(食事を抜く)、アルコール(とくに赤ワイン)、脱水
天気気圧の低下、気温や湿度の変化
環境まぶしい光、強いにおい、人ごみや騒音

米国の調査では、片頭痛のある人の約4人に3人が何らかの引き金があると答え、もっとも多かったのはストレスでした(Kelman 2007)。チョコレートなど特定の食べ物は、引き金というより「予兆期に甘いものが欲しくなって食べた」結果だという見方もあります。天気や気圧がなぜ引き金になるのか、下がる日にできることは気圧と頭痛の関係にまとめています。

片頭痛と緊張型頭痛の見分け方は?

いちばんの見分けどころは、体を動かすと悪化するか、吐き気や光・音のつらさがあるかです。片頭痛は動くと痛みが強くなり、寝込むことが多いのに対し、緊張型頭痛は締めつけられるような痛みで、動いても悪化せず、吐き気はありません。

片頭痛緊張型頭痛
痛み方ズキンズキンと脈打つ締めつけられる、重い、圧迫される
痛む場所片側が多い(両側のことも)両側、頭全体、後頭部から首
強さ中等度〜強い。寝込むことも軽い〜中等度。仕事は続けられることが多い
続く時間4〜72時間30分〜7日
動くと悪化する悪化しない
吐き気あることが多いない
光・音つらくなるあっても片方だけ、軽い

実際には、片頭痛と緊張型頭痛の両方を持っている人も少なくありません。「軽い頭痛は緊張型、強い日は片頭痛」ということもよくあります。また、軽いうちに薬を飲んで治まった片頭痛は、緊張型頭痛と区別がつきにくいことがあります。ほかの頭痛も含めた比較は頭痛の種類と見分け方をご覧ください。

片頭痛はどうやって診断する?

片頭痛は、血液検査や画像検査ではなく、頭痛の特徴を聞き取って、国際頭痛分類(ICHD-3)の基準に当てはめて診断します。CT や MRI は、ほかの病気が隠れていないかを確かめるために行うもので、片頭痛そのものは画像には写りません。

前兆のない片頭痛の基準を、わかりやすく言い直すと次のようになります。

  1. 同じような頭痛発作が、これまでに5回以上ある
  2. 1回の発作が4〜72時間続く(薬を飲まない、または効かない場合)
  3. 「片側が痛む」「脈打つ」「中等度以上の強さ」「動くと悪化する(動くのを避ける)」のうち2つ以上がある
  4. 発作中に「吐き気または嘔吐」か「光と音の両方がつらい」のどちらかがある
  5. ほかの頭痛の病気では説明がつかない

ここに挙げたのは考え方の目安で、自分で当てはめて診断を決めるためのものではありません。似た症状でも別の病気のことがあるので、診断は医師に任せてください。診察では「いつから」「どのくらいの頻度で」「何時間続くか」「どんな薬をどのくらい飲んでいるか」を聞かれるので、記録があると診断がずっと確かになります。

片頭痛の治療にはどんなものがある?

片頭痛の治療は、起きた発作を止める「急性期治療」と、発作の回数を減らす「予防治療」の2本立てです。どの薬が合うかは、発作の頻度・強さ・持病・妊娠の予定などで変わるので、主治医と相談して決めます。

急性期治療では、頭痛の診療ガイドライン2021に沿って、軽い〜中くらいの発作には鎮痛薬(アセトアミノフェンや NSAIDs)、中くらい〜重い発作や鎮痛薬が効かない発作には片頭痛専用のトリプタンを使います。このほか、血管を縮める作用のないラスミジタン(レイボー)とリメゲパント(ナルティーク)もあり、心臓や血管の病気でトリプタンが使えない人の選択肢にもなります。片頭痛の薬は痛み始めの早い時期に飲むのが基本です(片頭痛の薬の種類と飲み方)。予防治療では、昔から使われている飲み薬に加え、CGRP の働きを抑える注射薬や飲み薬があり、リメゲパント(ナルティーク)は急性期と予防の両方で日本で承認されています(片頭痛の予防治療)。

どの薬でも、頭痛薬を月に10日以上飲む状態が続くと、薬の飲みすぎ自体が頭痛を増やす「薬剤の使用過多による頭痛」になることがあります。市販薬の回数が増えてきたら、自己判断で続けずに相談してください。

片頭痛で受診する目安は?

頭痛で生活に支障が出ている、市販薬を月に10日以上飲んでいる、市販薬が効きにくい、頭痛が増えてきたのどれかに当てはまれば、受診を考えるタイミングです。片頭痛は我慢するものではなく、治療で発作を減らし、軽くできる病気です。

ただし、突然の激しい頭痛や、しびれ・ろれつの回りにくさを伴う頭痛は片頭痛ではない病気のことがあり、迷わず救急へ行ってください。受診を考えるサインと危険な頭痛の見分け方は頭痛で病院に行くべき?受診の目安に、受診先の選び方は頭痛外来の選び方にまとめています。

記録をつけると何が分かる?

頭痛の記録をつけると、月に何日頭痛があるか、何時間続くか、薬を何日飲んだか、何が引き金になっているかが、自分でも医師にも見えるようになります。「月経の前後に多い」「休日の朝に多い」といった片頭痛の傾向も、1〜2か月の記録で見えてくることが多いです。何を書けばよいかは頭痛ダイアリーの書き方で紹介しています。

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頭痛の時間・強さ・飲んだ薬をタップで記録。月ごとの頭痛日数と服薬日数がグラフになり、主治医にそのまま共有できます。

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まとめ

片頭痛は、脈打つ痛みと吐き気、光や音のつらさを伴う発作が4〜72時間続く、ありふれた病気です。前兆がある人は一部で、引き金は人によって違います。診断は頭痛の特徴を聞き取って行い、治療には発作を止める薬と減らす薬があります。つらい頭痛が続いているなら、我慢せず主治医に相談してください。

参考にした資料

  • Headache Classification Committee of the International Headache Society. The International Classification of Headache Disorders, 3rd edition (ICHD-3). Cephalalgia. 2018;38:1-211.
  • 日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会(監修). 頭痛の診療ガイドライン2021. 医学書院; 2021.
  • Sakai F, Igarashi H. Prevalence of migraine in Japan: a nationwide survey. Cephalalgia. 1997;17:15-22.
  • Steiner TJ, et al. Migraine remains second among the world's causes of disability, and first among young women: findings from GBD2019. The Journal of Headache and Pain. 2020;21:137.
  • Kelman L. The triggers or precipitants of the acute migraine attack. Cephalalgia. 2007;27:394-402.

よくある質問

片頭痛(偏頭痛)とはどんな頭痛ですか?

頭の片側(両側のこともあります)がズキンズキンと脈打つように痛み、吐き気や光・音のつらさを伴う発作が、4〜72時間続く頭痛です。体を動かすと痛みが強くなるのも特徴です。日本では15歳以上の8.4%に片頭痛があり、女性は男性の3倍以上でした(Sakai 1997)。

片頭痛は何時間続きますか?

大人では、薬を飲まない(または効かない)場合、1回の発作が4〜72時間続きます。これは国際頭痛分類(ICHD-3)の診断の基準にもなっている時間です。子どもでは2〜72時間と短いことがあります。72時間を超えて続く場合は受診してください。

片頭痛の前兆とは何ですか?

頭痛の前(または頭痛と同時)に、目の前にギザギザした光が広がる、視野の一部が見えにくくなる、手や顔がしびれるなどの症状が数分かけて広がり、5〜60分で消える現象です。前兆があるのは片頭痛のある人の一部で、日本の調査では約3割でした。初めての前兆や、片側の手足に力が入らない場合は、ほかの病気との区別が必要なので早めに受診してください。前兆のある片頭痛の人には、エストロゲンを含む低用量ピル(避妊用も生理痛などの治療用のLEPも)は禁忌です。

片頭痛と緊張型頭痛はどう見分けますか?

体を動かすと悪化するか、吐き気や光・音のつらさがあるかが大きな違いです。片頭痛は脈打つ痛みで動くと悪化し、吐き気を伴うことが多いのに対し、緊張型頭痛は締めつけられるような痛みで、動いても悪化せず吐き気はありません。両方を持っている人も多いので、診断は医師に相談してください。

片頭痛の原因は何ですか?

片頭痛になりやすい体質(家族に多い)に、ストレスやその解放、寝不足や寝すぎ、月経、空腹、天気の変化、まぶしい光などの引き金が重なって発作が起こると考えられています。発作のときには三叉神経からCGRPという物質が放出され、痛みが起こるとされています。

「偏頭痛」と「片頭痛」は違うものですか?

同じ病気を指しています。片頭痛(偏頭痛)は「偏頭痛」と書かれることもよくありますが、医学的な表記は「片頭痛」です。また、名前に「片」とあっても片側だけが痛むとは限らず、頭の両側が痛む発作も珍しくありません。

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執筆・監修者

前川 裕貴 - 頭痛専門医・ズツノート開発者
前川 裕貴

脳神経内科専門医・頭痛専門医

頭痛日誌アプリ「ズツノート」開発者

日本頭痛学会 専門医日本神経学会 専門医日本内科学会 内科専門医難病指定医

脳神経内科専門医・頭痛専門医。東京大学 脳神経内科で診療・研究に従事したのち、頭痛診療に専念。頭痛診療に欠かせない頭痛日誌が、いまだに紙での運用が多く、市販のアプリも使いにくいものばかりであることに課題を感じ、自ら頭痛日誌アプリ『ズツノート』を開発した。エンジニアとしても活動する“つくる頭痛専門医”として、診療と開発の両面から頭痛医療に取り組んでいる。

2020–2023東京大学 脳神経内科
2023–昭和医科大学 客員講師 / 埼玉精神神経センター 頭痛専門外来 / 荏原ホームケアクリニック 頭痛センター長
2025–株式会社 Iris Wellness 代表(頭痛日誌アプリ「ズツノート」を開発・運営)

現在の所属:埼玉精神神経センター 頭痛専門外来 / 荏原ホームケアクリニック 頭痛センター長

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